ふと、前を歩く本田を見ると…、肩が小刻みに揺れている。
笑っていやがる!
ゼロ・キュウの方が格好いいじゃん! マルじゃなくたっていいじゃん! でも、知らなかったなあ。マル・キュウかあ…。
「んんわ、なんじゃココは?」
さすがは、ギャルの殿堂、マル・キュウ。見渡す限りギャルばかり。勿論ショップのスタッフも全員ギャル! 客も店員も、露出多めで、男の本能をくすぐってくれる。目を輝かせ、あたりをキョロキョロ。そんなオレを見た本田が後ろからささやいた。
本田「田舎者っぽいよ。フフフ」
しからしか!!!(ほっとけ!)
本田の言葉を胸に焼き付け、ギャルの波を掻き分け、対象者の尾行を続け、そしてエスカレーターを駆け…、た瞬間。オレは釘付けになってしまった。そんなオレを見た本田が後ろからささやいた。
本田「変態っぽいよ。フフフ」
だって、皆、スカート短いんだもん!対象者も。オレは小声で言った。
秋山「報告いたしますとですねえ。対象者の"おパンツ"はブラックでした!」
ブラック、…クロ、…ヘンタイ確定!
な、ことはどうでもよかばってん、対象者を追うばい! 4階まで上がった対象者は、目的のショップに入ってあれこれ手に取り品定めを開始する。オレも入ろうと思ったが、本田の言葉が脳裏を過ぎった。『変態っぽいよ』。つまり、目立つということ。こりゃあ外で見張ってた方がよさそうだ。と、思ったのもつかの間。オレの目の前を本田が横切り、ショップの中へズカズカと入って行った! お、男前ばい! しかし、本田も十分、不審者。ホラ、さっそく店員が近寄ってきた。
店員「何かお探しでしょうか?(何か用? この変態!)」
本田「うん。ちょとね。」
ギャル店員「ソックスですか?(そういうのが趣味なんだろ? ド変態!)」
本田「彼女のプレゼントを探がしてるんだけど。どれが似合うかな~?」
店員「そうですかぁ~、こちらが今年の新作で(何だ、そうだったのね)」
やるのお、本田! 店員の目の色が変わったよ。不審者の容疑が晴れた瞬間、営業スマイルに早変わり。熱い商品説明がはじまった。一方の対象者は、洋服数点を抱えて試着室に入り、店員と2人でファッションショーを開始。まだまだ時間がかかりそう。おいおい、外に居るオレの方が居づらくなってきたよ。ん? ギャル店員が本田に何やら勧めてる。帽子だ。
ギャル店員「あっ、それ似合うよ! ゼッタイ、可愛いぃ~! 彼女さんも喜ぶよ!」
いやいや、甘いなギャル店員。本田は調査中だからね。どんなに営業をかけても無駄だよ。ホラ、本田は試着室を気にしているし、君の話は上の空だよ。諦めなさい。だが、ギャル店員はめげずに、本田に帽子をかぶらせる。
ギャル店員「カッコイイぃ~! 似合うよ、やっぱり!」
どんなにオダテても無駄だよ。本田は買いませんからね~。
本田「そうかなぁ~」
ア、 アレ? クラっときてるの? 本田さん?
店員「ワタシ、そういう帽子が似合う人に、グラっときちゃうんだよなぁ…」
本田「こ、この帽子ください(照れ笑い)」
えええええ~~~っ。買うのかよ! 本田は、視線こそ試着室に向けながらも、鼻の下は全開に伸ばして、お会計を済ませている。恐るべしギャル店員。
時を同じくして、対象者のファッションショーも終わった。もちろん、ギャル店員の営業トークが襲いかかる。しかし、対象者は、「また来ますねぇ~」の一言でするりとかわし、未購入のまま店を出ていった。こちらも恐るべし…。
追跡をしながら本田は言った。
本田「前から、変装用に帽子が欲しかったんだよね」
購入したての帽子をさっそくかぶってる。
秋山「本当ッスかあ? 買わされちゃったんじゃないんッスかあ?」
本田「いや、ずっと探してたんだよ。ベレー帽」
おっと、本田さん。ソレは「ベレー帽」じゃなくて「ハンチング」って言うんですよ。ククク…。
本田「あ、下りのエスカレーターに向かった。行くぞ! 秋山!」
追跡は続く…。