本田「あ、キスするゾ! 間違いないよ!」
え、マジ? 慌てさせるなって。まったく、公衆の面前で、よくできるよなぁ。東京モンは節操がなくていかんばい!
本田「ああ、まだだ。何やってんだよ。オレなら行くんだけどなぁ…」
勘かよ! しかし、雰囲気的には、いつそういう場面になってもおかしくない。チュッと一瞬で済まされては、証拠を入手できなくなってしまう。ここは、撮りっ放し作戦しかない。ズームとピントを対象者に合わせ、決定的瞬間を収めるべくカメラを構える。
と、そんな緊張に包まれたオレの耳に、馴染みの方言がこだました。空耳? ホームシックにはまだ早い気がするけど。いや、聞き間違いじゃない。九州弁だ! 振り向くと、田舎モノ丸出しの観光客カップルが、こちらへ近づいてくるではないか!
観光客・男「ちょい、アレば見てんね! 自由の女神があるバイ!」
観光客・女「アァ~! ほんなこっちゃん、東京は、やっぱ凄かねぇ~!」
観光客・男「ガバ、綺麗かぁ~!」
観光客・女「そげんやね~!」
ウザっ!
しかし、どーしよ。すかさず、本田にSOSのアイコンタクト。
すると、ヤツは、『田舎モンは、お前の担当だろ。静かにさせろ』と言わんばかりの睨みを返してきた。<自分かて東京の人間じゃなかばい!>
ズンズンと近づいてくるカップル。
進行方向は、まっすぐオレに向いている。なんで、オレ? というか、すでに真横まで来てる…。
観光客・男の目線は完全にオレ。取り合えず無視を決め込む。
すると、オレの肩をポンポンと叩く観光客・男。明らかに、目的はオレのようだ。
何の用だっつーの! こっちは忙しいんだって!
観光客・男「すんまっせんが、写真ば撮ってもろてよかでっしょうか?」
よかねーよっ! <何をノンキなこと抜かしよーとか!>
ビシッとメンチを切って、退散願うとするか。ビシッ~・・・・・・・・・!
観光客・男「そげん難しいかことなかよ。こんカメラは、ココば押すだけやけん」
デジカメの使い方くらいわかるわ、ボケ! じゃなくて、写真なんて撮ってやらないよっていう意思表示のメンチだろーが!
観光客・男「こんボタンば押すだけやケンよかやろ?」
ダメだ。とてもサインなんて感じ取ってくれそうにない。これはピンチだ。このまま放置しておいたら、完全にモメることになる。対象者に気付かれるわけにはいかない。考えろ、考えるんだ! ん、そうだ! あの手があった!
場所:お台場
時間:夜景がきれいなひと時
周辺状況:カップルが大多数を占めている
カップルの目的:デート
以上のデータから導き出したオレの緊急回避策。それは…。
<次回へ続く>