同郷の輩に追い詰められたオレは、究極の選択を迫られていた。仕事中にモメるわけにはいかない。かといって、無視しても退散してくれない…。モメずに、あきらめさせる方法。それは…。
秋山「も~う、鈍感ねぇ。邪魔しないでくれるぅ?」(女口調)
すかさず本田の手を取り、肩にちょこんと頭を乗せたオレ。驚いて身を引こうとする本田のカラダを力いっぱい引き止め、ホモ・カップルを装ったのだった。
題して、【ゲイのフリ作戦】! 一方で、対象者を捕らえるカメラのアングルは変えられない。
その状態で本田に寄り添うと、心なしか、内股になっていたオレ。
リアリティーの面では完璧な演出だった…。
観光客・男「なんね、アンタらホモとね?」
観光客・女「男同士で、うらんしかね!」
秋山「失礼ねぇ。大体、遅れてるわよ、アナタたち! イギリスなんて、結婚までできちゃうんだから。もう、田舎モンはいやぁねぇ!」
震えるな、本田。泣きたいのは、オレも同じなんだから…。
観光客・男「なんちょっとねや! 馬鹿にしとっとね!」
観光客・女「ガバよか雰囲気やったとに、台無しやん! もう、よか! 行こ!」
台無しになったのは、オレの心だって!
しかし、台無しにできないのは、この仕事。失敗は許されない。あれだけ恥をかいたんだから、ゼッタイに、ゼ~ッタイに、証拠を押さえるんだ!
秋山「さあ、さあ、仕事に集中しましょう!」
本田「いつまで手を繋いでる気なのかな?」
おっと、いけない。忘れてた。やさしい口調とは裏腹に、射るような視線を投げる本田。いいじゃない。ピンチは去ったんだからさあ。と、そのとき、ターゲットに動きが!
二人は肩を寄せ合い、はにかみながら、お互いに耳元で囁きあっているではないかっ!
秋山・本田「きたぁーーーーーーーーーーーッ!」(心の叫び)
まさに以心伝心。この瞬間、ふたりの心はひとつになったのでした!
しかし、その場では、キスまで至らず…。ダメなヤツ。<ショボかねえ、こん男は!>
その後、ふたりは、手をつなぎベンチから移動。尾行は、いつ終わるともなく続いていったのでした…。
続く