お店のカウンターやディスプレイに飾られている探偵グッズ。ご来店いただいた方々から、必ずと言っていいほど、どこで入手したのかと聞かれる。別に隠す必要もないのでぶっちゃけると、実は、秋葉原だったりする。
アメリカは人種の坩堝なんて言われているが、秋葉原もそう。ただし、人種じゃなくて、この街の場合は"珍種の坩堝"だけど…。
そのリュック、何が入ってるの?
そのケミカル・ジーンズ、どこっで買ったの?
ファッション的には恐ろしくイケてない男子たちが、萌え萌え言いながら闊歩している。一方、いかにもシステム屋風の方々やコスプレのおネエさんたちも混ざって、不気味なコントラストをかもし出している。最近では、メイド喫茶発祥の地としても知られている混沌の街なのだ。
かつて、ガイジンたちが目の色を変えてラジカセやウォークマンを買い漁っていた秋葉原ではなくなっていた。このところは、ガイジンさんのお目当ても、"珍種"見物になっているようだ。アンサーに来た外人客が持っていた英語の日本ガイドには、ハッキリと、こう書いてあった。Akihabara is a town of "OTAKU"
オレは、一歩進んで"Aボーイ"と呼んでいるが、どちらにしても、ただの電気街ではなくなっているということだ。
そんな秋葉原に、オレは、秋山を伴ってやって来た。目的は、新機材の購入である。
オジサン「あのお、すみません。石丸電気ってどこですかね?」
秋山「いや、ボクもはじめてきたもんで、全然…、痛っ!」
青年「あ、すみません」
まったく、田舎モンが田舎モンに道を聞かれるくらいマヌケなことはないよ。オマケにボーッとしてるから人にぶつかったりすんだよ…。
本田「おい、行くぞ。あ、オジサンねえ。石丸電気は上を見ればわかるよ。ホラ、見失わないくらいデカイ看板があるでしょうが!」
秋山「そんな言い方しなくたっていいじゃないッスか。千葉も九州もそんな変わんないんだし」
本田「バカ、天と地ほど違うっつーの! どんだけオレが東京の怖さを知ってると思ってんの?千葉=ほとんど東京だからこそ、オマエにも教えてやれるんでしょうが!」
秋山「ハイハイ、わかりましたよ。ブツブツ…。それにしても、なんかオレたち浮いてません?」
言うな秋山。もう少しの辛抱だ。しっかりオレについてこい!
冒頭でも触れたが、秋葉原には、探偵御用達のグッズ店が軒を連ねるエリアがある。その区画には、ハッキリ言って探偵しか居ないと言っても過言ではない。ラフな格好の中年男性も探偵。スーツ姿のカップルも恐らく新人探偵。CCDカメラを手に取っているのは、間違いなく探偵。もう探偵ずくし。Aボーイやコスプレ娘など、ひとりも見かけないエリアが秋葉原にはあるのだ。まさに、探偵街!
秋山「あれ、なんか、ここいらの人たち、オレらと同じ匂いがしません?」
フフフ、その通りだよ秋山。だって同業の人たちだもん。けっこう、いい鼻してるよ。うん。そこに気付けば一流だよ。
ということで、さっそくブツを漁りはじめる。本日の目的は、高感度CCDカメラとバッテリー。最新の映像受信機と遠隔モニターのセットだ。ハッキリ言って高額商品。ココに来るまで、ドキドキしたよ。多額の現金を持ち歩くのは精神衛生上よろしくない。そこで、秋山に預けておいた。
あちこち散策して、ようやく予算の範囲内で、お目当ての商品を発見。さっそく店員を呼びつける。
本田「よし、これにしよう。秋山、お金ちょうだい」
秋山「はい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アレ?」
本田「アレ? じゃなくて、ソレちょうだいって」
秋山「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない(汗)」
本田「ないじゃなくて…、え、ない???」
秋山「たしかにポケットに入れてたんッスよ、こっちのポケットに! ソレが…」
本田「ない???」
さっきの青年だ! あのオジサンもコンビだったのか! スリだ!
またひとつ、東京の怖さを思い知った。っていうか、どーすりゃいいの、オレら?