公開日:
彼と出会ったのは去年の夏のことでした。
宿泊型のボランティア活動に参加したことがきっかけで親しくなり、プライベートでも会う間柄になりました。
お互いの地元が近かったこともあって、頻繁に会って仲良くなっていきました。
そんな関係が数ヶ月続き、お互い言葉にはしませんでしたが、家に泊まったりもしていたので私たちは付き合っているんだなと思っていました。
しかし、クリスマスにどこか出掛けようと誘ってみると、予定があると言われました。
今まではそんなことなかったので何か大事な用事なのかと聞いてみると、彼から信じがたい言葉が返ってきました。
「クリスマスは彼女に会いに東京に行くんだよね。」と。その瞬間、驚きと後頭部を殴られたような衝撃が一気に全身を駆け巡りました。
聞けば、彼女は大学時代の同期でもう一年以上も交際が続いていたんだそうです。
ショックを受けている私をよそに、彼は全く悪びれる様子もなくこう言いました。「でも俺たち別に付き合ってないよね？(笑)」
この一言で、これまでの彼に向けていた愛情が全て憎しみに変わりました。何としても彼にはこのまま幸せになってほしくない、今の本命彼女とも別れさせたいと思いました。
失恋により別れさせ屋へ
しかし、自分ではどうしたら良いか分からなかったので、別れさせ屋へ依頼することを思いつきました。
それから別れさせ屋について調べみましたが、進め方などの具体的なイメージがつかなかったので、とりあえず相談してみてから決めようかなと思いました。
検索サイトで上位に出ていた探偵BARアンサーさんに電話相談をしたのですが、電話口で応対してくれたのは女性の方でした。
私は、探偵といえば何となく男性が多くいるイメージでいたので面食らってしまいましたが、この女性の方は本当に親身になって話を聞いてくれました。
彼に対して一時は憎しみの感情ばかりが湧いていましたが、話を聞いてもらって冷静になってみると、彼の本命になりたいと思うようになりました。
彼は今は私には本気になってくれないかもしれないけど、一度今自分が思っていることを話して少し考えてもらいたい…。そのためにはやはり、今の彼女とは別れてほしいと思いました。
クリスマス前の衝撃発言以降、彼は開き直ったように彼女との写真を見せてきたり、デートの話をしてくるようになりました。
遠距離ということで、2週間に１度のペースでお互い週末に交代で会いに行っていると聞き、これはチャンスだと思いました。
彼女が東京の人であるということ以外、住所や勤務先などは全く分からなかったので、デート後の東京までの帰路を尾行してもらって居住地を突き止めることにしました。
出張になる上、移動中の尾行はリスクが高いため、費用もかなり掛かってしまうことは承知していました。
しかしそれだけに、必ず成功してほしいという期待と不安も大きかったです。
そして彼女の家の特定が出来たら、彼女に工作員の方を近づけて段階を踏み別れさせにもっていく…という流れで進めることにしました。
彼は私と会う時には必ず駅への送り迎えをして来てくれていたので、恐らく本命彼女に対してもそうなのだろうと考え、当日は彼の自宅付近で張り込んでもらいました。
調査で見えてきた彼の本性
そして思惑通りに彼の家から彼女が出てきて、彼が駅まで送っていったようです。
しかし、報告の際に調査員の方から送られてきた写真には、以前彼が送ってきた彼女の写真とは別の女性が彼と並んで歩いている姿が写っていました。
調査員の方も別人だったことに戸惑ったようですが、その後もしっかり張り込みを続けてくれました。
そこで、今回彼が会っていた女性は東京在住ではなく、同じ石川県に住んでいたことが判明しました。
考えないようにしていたことですが、どうやら本命彼女とは別に今回の女性と親密な関係にあったようです。
他の可能性も考えましたが、彼には女兄弟などはいないと聞いていたことと家に上がるほどの間柄ということを踏まえると、ほぼ確定でした。
もしかしたら今回の女性が本命彼女だったのかもしれませんが、どちらにせよ複数の女性と交際している事実は変わりません。
それに、今回調査をしてもらって初めて彼が私に嘘をついていたことが分かり、自分がいかにぞんざいな扱いをされていたのかも分かりました。
本当は、本命彼女にアプローチを掛けてどうにか別れる方向にもっていこうと思っていましたが、自分以外にも交際女性がいたと分かれば、別れさせるにあたってこんな良い材料はないと思いました。
執着からの解放
でも彼が何人と付き合おうと、結局のところは誰も本当には愛されていないんじゃないかとも思いました。
そう思うと、本命彼女や今回の女性に対して同情のような気持ちが湧いてきました。
彼の本性が見えて、目が覚めたような妙にスッキリした気分になりました。
事実を知って彼に対する熱も失われていたので、別れさせ工作を仕掛けずに終えることにしました。
もうしばらく恋愛はいいかなと思っていますが、今は彼と関わっていた頃より明るい気分で過ごせている気がします。
憑き物が落ちたような、彼への執着の気持ちが解かれて楽になりました。
彼の女性関係は、できれば知りたくなかった事実でしたが、これから先の人生の貴重な時間を取り戻せたので結果的には良かったのだと思います